モノローグ天井桟敷

ショートでは悲劇ロングでは喜劇    本当はみんなコメディ

包み込む視線

昨日はツイッターが盛り上がっていたので、
ちりとてちん」の放送時間に合わせて2回投稿した。

ちりとてちん 底抜けに泣き # 寿限無
初冬に春の息吹き # 愛宕

#ちりとてちん 初回から塗り重ねられてきたものが、
今日キレイな模様となって花開きました。
その道中の陽気なこと。


まだ全体の使い方がよく分からないが、
投稿するだけならなんとかなりそう。(笑)

昨日は全国のテレビ画面が涙で濡れていた一日だったかも・・・
などという大げさなことはほどほどにして、昨日の続きを。

話を「アイコンタクト」に戻す。

以前、「押す視線 引く視線」の記事を書いたが、
今回は「包みこむ視線」。
こんな言葉を使う人はいないだろうが、
寝床落語会での草若の目を見ていて思いついた。

和田家が小浜から押しかけてくるまで、
草若は「蝉の脱け殻」状態だった。それがシャドー落語をし始め、
空ろな目から焦点の定まった目にすこしずつ変わっていく。
そして、落語会では師匠の目にグレードアップ。

小草若が登場すると微妙に変化。→親の目?
押す=pushでもなく引く=pullでもない。
関係を保ちながら自分の中に「get」するような感覚。
他に適当な言葉がないので「包みこむ」視線。

二人の視線がピタリと合うのをカメラは捉える。

お互いに「包みこむ」視線で愛コンタクト。
小草若は感情の防波堤が自壊し視線を逸らせていく。
この感情の揺れと、上下切りながらの落語を演じきれるのは
小草若=茂山宗彦しかいないだろう。(役と本人の二重の意味で)

寿限無」は落ちまで言い切らなければならない。
こぶ=意地が引っ込むまで。
その後を受けた草若は、親の視線から客を包みこむ演者の視線に・・・

ここで、どうしても付け加えたいのは、
落語家の話し方も「包みこむ」感じがあること。
草原=桂吉弥と他の人の落語を比べると分かるだろう。
現時点でそれに一番近いのが小草若。
意外にも、キヨミがそのレベルにじわじわと迫っていく。乞うご期待。

さて、第7週のMVPについて。
座して演じても軸のブレない独自の華、小草若に決定。
真相を知った後、墓前でかすみ草を触る仕草と表情。
草若の「愛宕山」がテープだと分かったときの微妙な落胆振り。

草若については第6週で評価済み。親子のW受賞は避けておこう。(笑)

助演「子供ら」賞は、おかみさん(志保)。
草若が病室を出て行くときの一瞬の「送り目」がいい。

白い緑子賞は、菊江。自愛に満ちたダンスが笑わせる。
肩の荷が下りた清々しい涙。ご先祖の和枝さんによろしく。(えっ)

寝床独占賞は、熊五郎。オリジナル「寝床」と熱唱後のドヤ顔アップは
朝ドラ史上に残るだろう。
熊より男前賞は、咲。草原の奥さんとは対照的だが、
啖呵と気風のよさはオノマチ糸子を彷彿させる。熊さんベタぼれ。

強引尻叩き賞は、糸子お母ちゃん。蕎麦打ちのスパルタ伝授と
草若を寝床にマイペースで連れ出した手腕はあっぱれ。
底抜けポーズを左右の手で演じるなど芸も細かい。

愛宕山デコ賞は、かすみ草。
春霞を連想させる白さが墓前で活きていた。

第8週から新しい局面に入る。

それでは、また。