モノローグ天井桟敷

ショートでは悲劇ロングでは喜劇    本当はみんなコメディ

オーバーラップ

数年ぶりに風邪を引いて寝込んでしまった。
ブロクで何を書いていたか、何を書こうとしていたか、
すっかり忘れている。

ちりとてちん」を2週間分まとめて見めて気がついたこと。
それが、タイトルの「オーバーラップ」。

第8週は、オーバーラップの連続だ。

文字通りオーバーラップの映像手法を使っているのが、
塗箸の仕事部屋で泣いているキヨミの姿。
チビのキヨミと寝床で夢見ている今のキヨミの想像が重なる。

小梅は正典に正太郎の後姿を見る。
正典はテープにより昭和43年の出来事と
正太郎の後を継ごうと決意した時のことを思い起こす。
そして、草若はテープを懇願した正太郎のことを思い起こす。

これは単純なリレーではなく、各人に別の意味や影響を与えている。
草若の場合、父親としての正太郎や正典の思いが自分と重なり、
当時、そこにいたであろう志保や仁志への思いにつながる。

別の見方もできる。たとえば土下座。
キヨミが師匠に弟子入りをお願いする姿。
友春が婚約解消を一人で申しでるよう姿
正典が師匠に娘の弟子入りをお願いする姿。
どれも誠意が伝わってきて美しい。

一見関係なさそうな大根おろし対決もそうだ。
唐突のような大根は、蕎麦用の残り物。
キヨミは大根おろしを手伝っているか、そうでなくても
母親の動きをみているはず。

キヨミは蕎麦打ちを投げ出さなかった。
母の味の引継ぎをヘタながらもやっていて、
お母ちゃんも手ごたえを感じていたのだろう。
糸子らしい最終テストの方法というところか。笑いも取れるし。

このドラマ全編でオーバーラップの象徴として使われているのが塗箸。
四草は「ゴミ」と毒を吐くが目では賞賛。

本音は目でわかる。特に四草の場合は。

オーバーラップは単なる仕掛けや伏線というのではなく
このドラマの主軸になっているのだろう。

さて、第8週のMVPは父親の厳しさと優しさ、親ばか加減を自然に演じた正典。合わせて小浜のマタギ賞も。(笑)

涙のオーバーラップ賞はキヨミ。週のラスト、橋の場面で涙を浮かべる表情がいい。
二人の後姿で終わるところは、チャップリンの「モダンタイムズ」とオーバーラップ。
これからの希望と不安が暗示されているように見えた。
ライトアップされた大阪城は愛宕山を連想させる。
馴れ馴れしくないナレもいい。金の茶室がないのも。(笑)

ベストコメンテーター賞は正平。落語家志願の動機をまとめ、
友春のキヨミへの思いを突き詰める手腕に脱帽。
しかし、ベストプレイヤーになるには見えない壁を破らないとね。
舌あり雀賞は、松江。マタギ発言だけでなく、

態度や表情の変化が軽みを醸し出す。
しかし、それがブーメランのように・・・
アホボン土下座賞は、友春。対となっている小草若と同様に
決めるところでは決めてくれる。方向違いはあるけれど。

ということで、ようやく第8週を締め括ることができた。

それでは、また。