モノローグ天井桟敷

ショートでは悲劇ロングでは喜劇    本当はみんなコメディ

ポニーテールのチャップリン

草々の髪の毛は相変わらずだが、キヨミはツインテールから
ポニーテールに変わっている。

心境の変化があったのか、目標が一つになったことを暗示しているのか
などと先読みすると、このドラマはつまらなくなる。
「二重らせん」はゆっくりと、しかし切れ目なしに動いていく。
だから、その時々を楽しみたい。

懇親会での落語「辻占茶屋」は、全編の中でも一番爆笑する場面。
こんな脚本を書いた作者は天才ではないか・・・

しかし、本当の天才は貫地谷しほりだ、と最近思うようになっている。
目が凍りついたように丸くなり小柄な体が強張る。(ロボットフリーズ)

そして(実際上も)上手くはない三味線を弾きながら、
「ふるさと」をトツトツと歌う。
舞い上がっていて、草々の怪訝そうな顔を見るまで気がつかない。
愕然。どねぇしょう。怯え。土下座。褒められて呆然。
畳にへたり込む。胸がいたい。恋に落ちる。

密度が高すぎて、とても一度では消化できない。

この場面を初めて見たとき思ったのは、
「あっ、チャップリンがいる」。
今あらためてみると、チャップリンより自然体である。
そのうえ、かわいい。(笑)演じた当時は、22歳かな。

草々との間合いも見事で、同じ演技を二度とみることが
できないほどの絶妙の呼吸。
特別なカメラワーク、凝った編集をしていないところが、
かえってよい効果を引き出している。

チャップリンを引き合いに出したのは、
「辻占茶屋」のためだけではない。
大阪編初期のキヨミの動作は、チャップリンのパントマイム
とそっくり。
もちろん、チャップリンが真似をしたのではなく、
キヨミ→演出陣が真似をしたのだ。(オマージュと言うらしい)

いずれ、キヨミの「チャップリンフェイス」そのまんまが
出てくるのだろう。

そういうことで、第4週のMVPは、キー公ことキヨミ。
また、助言ツケ回し賞は、草若師匠。
さらに、助演伏線賞は、「座布団」の大盤振る舞い。

キヨミ「私がついています」
草々「・・・」
それにも、座布団一枚。

これは大喜利ではありません。ドラマです。(注)

ところで、コイには登竜門という滝を登る鯉の意味もある
ということをツイッターで知った。
なるほど。寝床の店前の鯉は唐突ではないんだなあ。
本当によくできている脚本。

ラストにA子登場。天才の前に天災が現れた。
B子は、登竜門から地獄門にワープしてしまうのか。
ここから底抜けに、AとBの「二重らせん」が動き出す予兆。

それでは、また。