モノローグ天井桟敷

ショートでは悲劇ロングでは喜劇    本当はみんなコメディ

押す視線 引く視線

四草の登場でツイッターが賑わっている。
その道中の陽気なこと。(笑)

小草若が押すような視線であるのに対して
四草は引くような視線。
熱い視線が四草に注がれるのは無理もないかな?

この二人から目が離せないが、第6週の最重要人物は
草若師匠である。注目は、やはり目。

草若の目は空ろだ。いったい何を見て何を感じているのか。
「め」をキーワードにざっと並べてみた。

「男やもめ」「駄目」「落ち目」「あきらめ」
「風呂のぬるめ」・・・酒の燗もぬるめ?

「出鱈目」はちょっと違う。熊さんが納得するほど
言うことに一応筋は通っている。

あれこれ探して辿り着いたのが「ゆめ」。
黒澤映画に「夢」というオムニバス作品がある。
幼年期、壮年期の回想、未来の悲惨や理想郷が
淡々と綴られている。

しかし、今の草若にはそんな夢を見る力さえない。
泥酔し草々を突き放し、墓前で後ろを振り返っても
小草若に声をかけないで立ち去ってしまう。
妻の下に早くいきたいとだけ願っているのだろうか。

弟子たちを魅了し稽古を付け、やさしい眼差しを
投げかけてくれた師匠の姿は何処へ消えたのか。

そんな時、5年前の落語会シーンが蘇ってくる。
脚本、演出、演技、編集すべて完璧。余韻がたまらない。

ツイッターでは「空目」という言葉を時々目にする。
空耳=幻聴で、空目=幻視ということらしい。
草若の場合、「空心」という言葉がぴったりしそうだ。
空心は心を見失いさ迷う状態→「カーネーション」の勘助

ところで、草若は妻の墓前に「かすみ草」を捧げた。
タンポポではない。
小草若はそれを除けて自分のバケツに放り込んでしまった。
その後、小草若はどうしたのだろう。
それについては何も触れられていないが、
来週のクライマックスを見てから想像すると面白いかも。

かすみ草の白さは、鏡に消えた弟子たちの文字を連想させ
はかなさを感じる。
しかし、それは希望の残り火でもある。
かすみ草の花言葉は「夢心地」。
草若にはやり残した夢があるはず。

おっと。もう一人、大事な目を忘れていた。
算段の平兵衛=京本政樹の流し目。

それでは、また。